これから、0073のブログへのアップを開始するに当たって、 言い訳と自分へのルール。 ・一回にあげる文章の量は適当。 区切りがいい場合もあるし、非常に悪い場合もあるのでご了承下さい。 mainページにあげるときは直します。 ・わからん、とか、おかしくないか?とかはぜひ教えてください。 ・ログは5ずつ表示。 とかそんなかんじで。 |
「 Mobile - Suit GUNDAM SEED C.E. 0073 」 001 (この番号はあくまでUPした回数をカウントするためのもので、話の区切りとは関係ありません) 雑誌を頭に載せた身体がだらしなく寝転がったベッドの脇、その窓の外では騒がしい音が溢れ、人を ごちゃごちゃと乗せたジープや、瀟洒な金の装飾を施された大きな影が、空に、大地にとせわしく動き回っている。 つけっぱなしにされた机の上ディスプレイからは、どこぞの軍が、地球と月の間のラグランジュポイント1に浮かぶスペースコロニーという地球からの移民が暮らす居住施設に進駐しただのというニュースが、だらだらと流れていた。 すると突然、耳につく電子音が短く鳴り響いた。 「ディータ・ウェバーにパブリックメールが1通、プライベートメールが1通届いています。プライベートメールの送信元はルー・ウェバー。2通をパーソナルフォルダに転送しますか?」 電子音に続いた声は、室内の端末に通信が入っていることを知らせているらしく、ディータと呼ばれた男は億劫そうに身体を起こすと通話のスイッチに手を伸ばした。 「ディータ・ウェバー宛のメール2通をパーソナルフォルダへ転送願います。」 一言マイク部分にそう声をかければ、すぐに通信の相手にアイデンティティカードの提示を求められ、これに応じる。それに呼応するように、机上のコンピュータにつながれたもうひとつのディスプレイに光が灯った。 画面上に表示されたポインタを手元で操作して、転送されたメールを開くと、見慣れた壁を背景とした映像と、聞きなれた音声が流れ出す。 「ディータ。たまには連絡くらい寄越したらどうなの。せっかく軍艦付きからアーモリーワンなんて大きな基地に配属になったんだから。」 堰が切れたように勢い良くあふれるその女性の声に、ディータは肩を竦めて、またベッドに座らせた自分の体を立ち上がらせると、そのメールに返信をするためのウィンドウを画面に呼び出し、キーボードで打ち込むのが面倒になったのか、音声入力用のピンマイクをデスクの脇から引っ張り出した。 「もう条約も結ばれて軍だって暇になっちゃうんじゃないの?なら前線基地から下げてもらって、母さ んを安心させて頂戴。あなただって戦争がしたくてZAFTに入ったわけじゃないんでしょう?」 Tシャツの襟元にピンマイクをつける間もなく攻め立てる声は止め処なく続き、たじたじと首を竦めたまま、ディータはその声と会話をするように、言葉を紡ぎ始めた。 002 「母さん、久しぶり。ずっとなんとなくバタバタ忙しくて、連絡できませんでした。ごめんなさい。 で、母さんの期待から外れるようで申し訳ないんだけど。」 口から言葉を歯切れ悪く吐き出しながら、返信用のウィンドウの横に、先程母からのメールと共に転送されてきたメールを開く。そういえば、今まで内定していたに過ぎず正式な文書は追々という風に伝えられていた、今後の自分の配属を記した辞令をまだ受け取っていなかったと思い出し、開かれたメールを見ると、出航を間近に控え、自分も既にその準備に連日明け暮れることで呼び慣れ始めてきている艦隊の旗艦の名が記されている。 「またしばらく艦に乗りっぱなしになると思うから、連絡もまたまちまちになるかもしれないけど、あんまり心配しないで。父さんにもそう言っておいて。次の配属は――」 しばらくすると、部屋のオートドアが開く音が聞こえた。ディータは、ロックをし忘れたことを頭の片隅に思い出しはしたが、これ以上両親への手紙に書き添えることも思い当たらなかったので、これを幸いと締めの文句を口にして、ピンマイクを外した。 「ディータ、ちょっといいか。」 「なんだ、バチロウか。どうかしたのか?」 「おっさんがおまえ呼んで来いって言うからさ。なんだ、メール打ってたのか。」 送信の手続きをして、振り返ると作業着の前をだらしなく開けた同僚が、ドアに寄りかかるようにして立っている。ディータは、ベッドの上に無造作に投げ置かれた真っ赤な服のポケットにベルトをつっこんで、肩から羽織るようにかけると、ブーツのかかとを鳴らして歩き始めた。 「メール、もういいのか?」 「あぁ、実家にだから、そんな長々打ってもうるさいだけだし。で、おっさんは?」 「ウィトゲンシュタインのドックで積み込みやってる。お前きっと飛び上がって喜ぶぜ。」 「なんだよ、もったいぶって。」 歩き出したディータが自分の横をすり抜けると、ディータが配属された艦艇の名前を口にして、バチロウも爪先を返して横に並ぶ。そして、隣の男が肩にかけたままの軍服に袖を通すつもりがないと気付くと、眉をしかめた。 「おまえなぁ、軍服くらいまともに着ろよ。せっかくの赤服なのに。」 「オレあんまりこの服好きじゃないんだよね。どうせドックやらハンガーいったら邪魔なだけだ、いい んだよ、これで。」 バチロウの指摘にひらりと掌を振って答え、そのまま人も疎らな宿舎棟の自動ドアを抜けると、白々しいほどの人工の陽射しが、ディータの目を眩ませた。その細めた目の上を轟音と共に巨大な影が過ぎて、やっとまともに目が開けるようになる。掌で目の上にひさしを作って目線をあげれば、ZAFTが誇る巨大人型機動兵器――モビルスーツと呼ばれる灰色の巨人が背部のバーニアを吹かし、低い空に影を引き摺ったまま、少し離れた広場の上空に直立しそのまま真下に着地した。 着地の際に接地面の角度計算でも誤ったのか、着地の震動の後に、バランスを崩して右足を慌てた様子で一歩踏み出す強い振動が続いた。 「なんだありゃあ、誰が乗ってんだよ、下手っくそ!」 バチロウが、いまだその様子を見つめているディータの横で、毒づいた。 003 「式典の準備であせってんだろ?もう明日だもんな。」 宿舎棟の前の停車スペースに行儀良く止められたジープの運転席に収まりながらバチロウをなだめるように言った。 「そうだろうけど。たかだか新造艦の進水式に、こんな金かけちゃってどうすんだ。あーぁ、基地付きの式典装備のジンなんかに金かけるなら、これから作戦行動に入るこっちの部隊にもっと回してほしいもんだぜ。」 「そりゃあな。」 バチロウは、未だ憎々しげに瀟洒な装飾に本物の木材と革で作られた祝砲用のライフルを携えた、ジンと呼ばれるモビルスーツをみつめている。ディータはというとバチロウの言葉を耳に挟みながら、左手にハンドルを握り、アイデンティティカードをハンドルの脇にあるスロットに差し込んでいる。しかしジープは一向にエンジン音をあげず、ため息をひとつついて仕方なくジープを降りた。 「動かないのか?」 「あぁ。まあどうせ大した距離じゃないんだし、歩こうぜ。」 歩きだすふたりを囲むように林立する倉庫やハンガーは、雑然と騒がしかった。絶えず怒号が飛び交い、頭上には先程と同じ式典装備を施したジンが、後ろに排気の熱でゆがむ景色を引きながら低空飛行していく。ディータは、空をさえぎるジンの機体を見上げ、その排気に煽られた肩の軍服に、仕方無しに袖を通した。 「――かっこいいよなぁ。」 「何が。」 ぽつり、ディータが漏らしたひとり言にバチロウは怪訝な表情で反応する。 「ジン。」 「式典用が?」 視線をジンから外さないディータに、意を介したバチロウは、猛然と不機嫌を貼り付けた声を上げた。 「バカ言えよ。機能美からかけ離れた成金趣味丸出しじゃんか!オレは好きじゃないね。」 「そう、かな。」 「そうです。そんなに好きならお前のジン式典装備にしてやろうか?」 「それは困る。祝砲じゃあ地球のモビルアーマーのひとつも落とせないからな。」 目線をジンから正面に戻し歩みを速めると、バチロウもそれに速度を合わせて歩きながら、笑った。 そのまま他愛もないことを言い合ってうるさい倉庫街を歩いていく。時々、顔見知りの同僚とすれ違い、そのたびに軽く片手を挙げて答える。 「ディータ!バチロウ!これからドック?」 「おう、シノウ。そ、これからご出勤。」 すると、第5ハンガーの脇から、バチロウと同じ作業着を着た一人の女性隊員が駆け出してきた。ふたりの知り合いらしく軽口を言い合っている。 「頼みがあるんだけど、もし、タケシタ整備士長にあったらこれ渡しといてくれない?」 「おっさんに?いいけど。」 女性隊員は、ディータの手に小さなメモリーカードを握らせた。用向きはそれだけのようなので、あいさつもそこそこにまた歩き出した。後ろから、おねがいねと念を押す声がしたので軽く振り返り、手を挙げた。 ――どん、と鈍い痛みがディータの身体の左側に走った。 瞬間、余所見をしていた自分が辻を走ってきた誰かにぶつかったんだと理解し、左側を見やる。そこには、自分と同じ赤い軍服を着た少年が尻もちをついていた。 「いたた。」 「すまない。よそ見してて気付かなかった。」 助け起こそうと少年に手を差し出すと、一瞬不機嫌そうににらまれたように感じたが、すぐに相手が手を取ったので気にせずひっぱり起こした。 「いいですよ、こっちも悪いんだし。」 起き上がった相手を見ると、まだ幼い子供の顔をしていて、ディータよりずっと年下に見えた。しかしながら、この軍の中で、士官学校で優秀な成績を収めたものでないと受けられない赤服を着ているということは、この少年もエースパイロットなのであろうことは予想がついた。 「シン、大丈夫かよ。」 「別に転んだだけだよ。」 後からかけてきた友人らしい作業着姿の少年は、赤服の少年をシンと呼んだ。 ――シン、か。 ディータは、その名前をどこかで聞いたような気がして記憶を引っ掻き回した。しかし、もともとどうでもいいことはすぐ忘れてしまう性質のため、どうしても思い出すには至らない。 「じゃあ、早く行こうぜ!」 「待てよ、ヨウラン!」 無事を確認すると駆け出した友人の背を追って足を踏み出しながら、ぺこりと会釈を残して少年は駆けて行った。その黒髪とにらんだ目つきは、確かに見たことのあるもののはずだ。 「なあ、バチロウ。今の奴さ、どっかで見たことないか?」 「シン、って言ってたな。」 バチロウもどうやらそのように思っていたらしく、シン、という名を聞き取っていた。 「あぁ、あれじゃないか。」 しばらく止めてしまった足をまた動かしながら、バチロウがぱちんと指を鳴らす。 バチロウが言うには、今期アカデミーを出たばかりのパイロットの中に、シン・アスカという少年がいたという。そういえば、軍が出している広報誌に今期の赤服が写真つきで載っていたのを暇つぶしに読んだのだったと思い出した。 「じゃあ、ミネルバの……インパルスのパイロットか。」 ――シン・アスカ、ね、とディータは口の中でその名前をもう一度呟いた。 004 その日、サザビー・バーネットは上機嫌だった。 別に、着慣れた白い軍服がクリーニング上がりで、糊の香りが心地よく効いているからでも、先日まで調整中だったドリンクのベンディングマシーンが直ったからでもない。 一年ぶりに憧れの女性と言葉を交わす機会に恵まれたからである。 しかもその一年前から顔も合わせていない彼女と、近々会えそうだとなれば、普段は努めてすましていることの多いサザビーの顔も、自然と幾分か緩んでくる。 「サザビー中尉。今日は何だかご機嫌ですね。」 ブリッジへの呼び出しを喰らったサザビーが、無重力空間での移動を安易にするために通路に取り付けられた電動の移動補助バー、リフトグリップを掴んで通路を進んでいく。その途中で、部屋から出てきたウェイブがサザビーの顔を見た途端驚いたような表情を浮かべて、そう言った。 「そうか?」 「そんな表情、先日私と食事してくださったときには見せてくれませんでしたよ。」 悪戯っぽく笑うウェイブの表情に、自分が笑われているような印象を受けて、やっと緩む自分の頬を自覚したサザビーは、一度顔を背けて口元と目元に力を込め直す仕草をしてから、もう一度ウェイブを見やる。 「何かいいことでもあったんですか?」 「まあ、そんなところだ。」 そういい残すようにして、勢いをつけてグリップを離すと、ブリッジに繋がるドアへと流れていく。その後ろで、ウェイブがくすりと鼻を鳴らして笑うのが聞こえた気がしたが、サザビーは気にすることをやめてブリッジへのドアをくぐった。 「サザビー・バーネット中尉、参りました。」 005 「ザナ、姿が見えないと思ったら、先に来ていたのか。」 「オレは中尉ほどもてないんでね。サンダース少佐、サザビー中尉です。」 ブリッジのドアの先では、先に来ていたらしい聞き慣れた同僚の声が、背もたれに隠れた人物へとサザビーの来訪を告げていた。 「サザビー中尉か、地球のセントローレンス基地から、今回の補給任務に関する通信要請が入っている。ザナ少尉、資料を。」 くるりと回された椅子には、サンダースと呼ばれた体格の良い男が深く腰掛け足を組んで納まっている。その向こうには、数人のブリッジクルーが様々な情報が次々と表示されるモニターをみつめながらなにかしら作業を行う声が聞こえてきていた。 「通信、ですか?よろしいのですか?もし傍受されでもして、この艦のことが明るみに出るようなことがあっては……。」 「幸いこのコロニー、”アルカディア”は古いからな。現在使われている通信回線とは異なる階層の波を利用するものがある。」 サンダースは怪訝な顔をして歩み寄るサザビーを視界の端に捉えながら、回した椅子を正面に戻す。そして、傍らに控えるザナ少尉に手を挙げて後の説明を引き継いだ。 「使用されなくなって久しいものですから、状態は少々悪いのですが傍受される可能性は限りなく低いと思われます。」 資料を手渡しながら、サザビーに背中を向けて、通信士に回線を開くように指示を出すこのザナという男は、わざとらしくサザビーに敬語を使い、事情を把握しきったような笑みを小さく投げ寄越した。 「回線、開くまでに少々時間がかかります。」 通信士は既に音声だけ地球と繋がったインターカムのマイク部分を手で押さえ、サンダースを振り返る。構わないという風に指示を受けると、いそいそ向き直りまたマイクに向かって何か言い始めた。 「中尉、この度の補給任務だが、先日も言ったように中尉の推薦どおりセントローレンス所属のセラン・ユク中尉とリリア・マリー少尉を頼んでおいた。今回の連絡は簡単な手順の確認だと聞いている。随分旧式のシャトルで上がるらしいな。」 「はぁ。そのように聞いております。」 「セラン中尉、リリア少尉の両名が上がってきたならば、モビルスーツ部隊の指示は、ひとまず中尉に預けよう。私は、艦の指示もあるからな。中尉のあれほど推す人材だ。期待している。」 「は。その点はご心配には及びません。」 サザビーは、自らの上司であるサンダースの口から憧れの女性の名が出たことに嬉しくなり、また口元を綻ばせ、踵をそろえるとかちりと敬礼をした。 「回線、開きます。」 通信士席の横に移動したザナがスクリーン状のモニターを仰ぎ、言った。資料から目を上げたサザビーは小さな緊張を結んだ掌に握りながら、通信士同士の回線状態をチェックする声を聞いている。 しばらくして、状態の確認を終えた通信士が、幾分か古いマイクを寄越す。ひとつ息をついてサザビーは、それに手を伸ばした。 「こちら、第一宙域第七特務師団所有アークエンジェル級強襲機動特装艦”メルキセデク”所属、サザビー・バーネット中尉であります。せ、セラン中尉。」 サザビーの緊張を映した声を運ぶ、通信士によっていまだ微調整を受ける荒く結ばれた通信回線は、砂嵐のように揺らぐ画像と、不鮮明な音声を大きなモニターに届けている。 <BACK> |