016
ディータ、サッシャの両名もその例に漏れず、プラント内部での戦闘は訓練こそしているものの、得意とは大口で言えないところがある。故に、今ふたりの操るジンが手にする配備されたばかりのビームライフルは、出力調節の加減がつかみきれず、その攻撃力は新型機を相手にするには少々役不足という感は否めるものではなかった。 そんな2機の状態に気付いてか、カオスがドラグーンシステムによって操られたポッドを射出し、射抜くようにビームの光を降らせる。2機はライフルの発砲をオート操作に切り替え、マニュアル操作によってカオスの放つ光の雨を避けることだけに集中せざるを得なくなる。 そこへ、ふたりの所属する艦であるウィトゲンシュタインから途切れ途切れの通信が入ったようだった。ようだった、というのはあくまで音声をふたりが聞き取れるようなものではなかったからである。一瞬、また一瞬とウィンドウに小さく入電を知らせる文字が光ったが、それは、雑音と呼ぶにふさわしい声を耳障りに届けてくるばかりであった。 「なんなんだ、ウィトゲンシュタインは。通信が聞こえねぇ!」 嫌々ながら後退を余儀なくされての、急激な移動によって生じた横向きのGに横面を殴られながら、ディータは苛つく感情をあらわにし、誰にというわけでもなく叫んだ。 「ディータ!」 サッシャのその大げさな呼び声は、ディータの叫びに対する返答かと思われたが、そこに続いた言葉は賛同ではなく、ディータをさらに苛つかせるものであった。 「今の揺れ、メインポートの方よ。爆発の振動だとしたらかなり大きいわ。」 「揺れ?」 「気付かなかったの?かなり大きな震動だったわ。」 「だとしたら、外にやつらの母艦がいるとしか考えられないな。」 ディータは、サッシャのいう震動に気付くことができなかった。その瞬間ディータの収まる106の脚部は大地をつかんでいなかったからであろう。 あの3機を奪取した部隊が、モビルスーツパイロット数人だけで編成されているものとはとても思えず、ディータの言うようにアーモリーワンの外に奪った3機を収容する母艦が控えていると考えることは順当といえる。 このまま母艦までもを相手にするのは、些か荷が重い、そう思い至るに十分すぎる材料ばかりが揃っていく。先程のウィトゲンシュタインからの入電も気になる。 少しずつ、自分の頭を冷やすことも兼ねて後退しつつも、手柄を欲するあまりか、ディータは迷っていた。 両名ともウィトゲンシュタイン所属のパイロットである上に、ウィトゲンシュタインのクルーは先の大戦から共に働く馴染みである。もし、なにか重大な不都合が起きているのであれば、そちらを優先しなければならない場合も想定できる。 「ジン106、103。こちらミネルバ所属ザクファントム、レイ・ザ・バレル。」 そこに、聞こえてきたのは、まるで人工音声のように抑揚のない声だった。 計器を見やると、識別コードが有効化されたばかりの2機のザクが新たに映っている。どうやらミネルバが寄越した応援らしい。 「こちらウィトゲンシュタイン、ジン106、ディータ・ウェバー。」 通信に答え、マイクに声を投げていると、ディータが見つめるモニターを1機の赤く塗られたザクウォーリアが猛然と飛び出していった。 「ミネルバの部隊は初陣のパイロットが多いと聞くが、敵の詳細情報もないうちから、あまり出過ぎるなとあのザクにも言っておけ。」 明らかに自分より後輩であろう新人部隊へと言葉を重ねることで、苛つきを沈めようとしているディータが、あえてザクにも、といったのは暗にインパルスにも、という意味を含ませたかったからであろう。 「ご心配ありがとうございます。」 「ところでこの通信、出撃とマーク変更の報告だけにということならば、パイロットが有事にする行動とは思いがたいが?」 レイと会話をしながらも、スラスターハンドルを操作し、流れてくる火線を避けさせる。 「はい、先程、1013ドックのウィトゲンシュタインより、ミヤモト隊向けの通達が発されました。この状況下では貴官がたへ届かなかった恐れも拭えず、お伝えしに参りました。」 「さっきの入電はそれか。報告を。」 「は。”ミヤモト隊所属総員に告ぐ。本隊は現時刻をもって作戦行動に移行するべくアーモリーワン基地より出立する。ポートは使用不能につき、各艦ドックより各個に出航されたし。全モビルスーツは出航を援護せよ”とのこと。」 「出航?……それって帰艦命令じゃない。」 冷たいレイの声に引っ張られるように、サッシャはいつもの騒々しさとは違う、抑えた声を出した。 ディータはというと、レイの発した言葉を口の中で反芻する。それは明らかに、ディータたちふたりがウィトゲンシュタインを優先しなければいけない事態を示していた。 「レイ・ザ・バレル、インパルスの援護、任せられるか?」 「無論、そのつもりです。」 「あいつも赤服だ、死ぬようなバカじゃないとは思うが、頼む。」 「インパルスの援護はもともと我々の隊の仕事。奴の尻拭いはオレが。」 「すまない。ジン106、及び103は命令に基づき本隊と合流する。」 017
レイは、短い挨拶のような言葉を最後にディータとの通信を切ると、ガイアと刃を交えるインパルスへとザクを移動させていった。 ディータはというと、ウィンドウの一つを周辺の詳細地図に切り替え、サッシャが何か言いたげな雰囲気を醸し出しているのに気付き、あえて何か言い出すのを待った。 「で、これからどうするの。」 「本隊に合流するなら、エレベータで戻るしかないだろ。」 ディータは自分が見ている画面を、通信中のサッシャのジンに転送する。そこで、視界の端のウィンドウで敵機を追い、目まぐるしく動いていたはずのマーカーの一つがぴたりと停止していることに気付いた。視線の中心で捉えると、奪取された3機のうち、ガイアだった。 「……どうした、何を考えてる、戦場で立ち止まるなんて。」 手指に勢い良くキーボードを叩かせ、ガイアを中心に少し拡大した映像を表示させる、短いその作業の間に、突然ガイアが飛び上がった。 ぐんぐんと、プラントを覆うガラス張りの空へと向かっている。ほんのわずかに遅れて、他の2機が後を追い、インパルスと先ほど言葉を交わしたレイのザクファントムすらも、その高度を上げ始めた。 「まさか、ガラスに穴を開けようっての?」 サッシャが感情的に声を上げるのが、ディータの収まるノーマルスーツのヘルメットにも響いている。 見る見るうちにガイアはプラントの天井であるガラスのそばへたどり着き、それに向かって兵器を乱射し始めた。プラントの外壁を成すガラスは一定の衝撃に対して自己修復を行うものを採用している。このガイアの攻撃も、まるで吸い込んでは宇宙へ吐き出すように、自己修復を繰り返している。 それを見てか、インパルス、ザクの追跡を振り切ろうとしていたアビス、カオスは、ガイアが打ち続けたガラスに向かって、その兵器を発した。 「穴が……!」 黙りこくるディータの鼻の先を、サッシャの声が掠めていく。 開いた穴から3機が逃げていく、と続く言葉にディータは何か思いついたようにヘルメットのバイザーを下ろした。 「姐さん、エレベータで悠長にドックまで戻っている暇はない。あの穴から外へ廻り、外壁から艦を援護する。」 「……了解。」 ほんの僅か、躊躇ったサッシャの返事を耳に受けると、チェックを行うようにと折り返しながら、ガイアを拡大表示させていたウィンドウと、プラント内の詳細地図を示していたウィンドウを閉じ、現在自分が搭乗するジンの生命維持系統が宇宙空間に耐えうる状態であるか、項目を声に出して読み上げ、確認していく。 「時計合わせ。現在より30秒後、スラスター出力全開。」 「時計合わせ。各部チェック、異常なし。」 「カウントダウン、スタート。――3、2、1」 チェックが終わる、その音が聞こえるか聞こえないかのタイミングで、2機はぽっかりと開いた黒い口へと背中から光を吐き出し、躍り上がった。 2機は、排水溝へ渦を巻く水の流れと変わらない、吸いだされる空気によって、人の生存を拒絶する重苦しい「そら」に押し出されて行く。明るかったモニターは黒く闇に染まり、コックピット内の作られた空気は少し酸素の濃度を上げた。胸が、圧迫されているような感覚に襲われ、肺に空気が入りにくくなったような感じがする。 空気すら、金を出して買っている宇宙暮らしの人間にとって、その窮屈さに対する恐怖は生まれた時から染み付いた、新しい本能のようなものであるといえる。 それはディータも例外ではなく、どれだけ宇宙に暮らしても慣れることのない緊張を感じ、数度、確認するように深呼吸した。 018 コロニーの外はゴミだらけであった。 センサーにまるで星群のようにきらきらとキャッチされるそれらは、かつてナスカ級、ローラシア級と呼ばれた、ディータにとっても馴染みの深い戦艦ではあったもののようだが、今となってはただの残骸というほかない。 「ウィトゲンシュタイン、応答願う。」 コロニーの内部と異なり、さらにひどくなった電波障害に阻まれたディータの言葉に応じるものは、なれた通信士のものではなく、ただざらざらと響くノイズだけだった。 「1013ドックの外壁まで寄せよう。オレが援護する。」 「了解。」 2機は未だそこに収まっているであろうウィトゲンシュタインへと近付くべく、コロニーの外壁に機体を寄せ、コロニーの回転速度に機体の速度を合わせたサッシャが、通信を始める。 ディータはサッシャの機体に速度をそろえ、周囲の敵機をサーチするためにマーカーを走らせながら、ライフルの出力を上げる処理を行っていく。 「こちら、ジン103応答願います。」 「ジン103、106応答せよ。」 ディータは板一枚隔てた中に控えるウィトゲンシュタインからの入電が、敵機接近の警報音に千切られていくのを聞いた。 背後から迫る光を捉えたモニターと、熱源センサーの警報音に目をやり、とっさに足元のバーニアペダルを踏み込む。 「敵機か。」 センサー類に灯る光を頼りに、ジンの機体を敵機の方向に振り返らせ、目視で敵機を確認する。黒く塗装されたモビルスーツが少なくとも3機見て取れた。 「ジン103、106応答せよ。」 サーベルを掴ませていたジンの手に、ライフルを握らせようとマニピュレーター設定をオートにする。この忙しい時に、と口から漏らしながら通信に答えるためのスイッチに軽く手を触れさせる。 「こちらジン106、ディータ。」 「サッシャ、103。」 「103へ、本機より距離3000内に敵機3機。機体熱紋データ照合、ダガーL。」 ヘルメットに内蔵されたスピーカから漏れる音声に耳を傾けながらも、通信を行っているサッシャに攻撃が及ばぬよう、ディータは声に出して索敵の結果を読み上げながら、ライフルの発砲を行う。 「103、106へ。ウィトゲンシュタインはこれよりアーモリーワン外壁装甲部を艦砲にて除去の後、出航体制に入る。援護できるか。」 ブリッジの雑音を耳障りに拾いながらも、早口で捲くし立てるフリーデルの声が、響いている。 「現在、周辺コロニー外部に少なくとも敵機3機を確認している。」 「艦砲射撃主軸上にいる敵は構わなくていい。」 雑音のような声が遠く、その声を隊長と呼んだ。 急に変わったそのヘルメットの中に響く声に、ぐ、と音を立ててディータは自分の喉が緊張で石のように固まった空気を噛み下すのを感じていた。 「了解……」 「了解。主軸線外の敵機を優先的に狙撃し、出航を援護する。」 サッシャの応答を遮るように、一言吐き出すとジンのライフルのマーカーが発する光を追うことに専念する。 ウィトゲンシュタインから絶えず漏れる艦砲使用に関するものなどの様々な情報を含む音声は、集中するほどに遠くなっていくように感じられた。 「今、ここでウィトゲンシュタインを落とされるわけにはいかないからな。」 ぼそりと口の中で呟く。ライフルに可能な限り早く連射を行うよう入力し、その旨をサッシャに伝える。 106ジンに構えさせたライフルにエネルギーが充填されるのを確認すると、レーダーの範囲内に捉えられた3機の機影に向け、引き金を弾いた。 「――落ちろ!」 数本、尾を引いて伸びたライフルの火線が、一瞬の間を持って炸裂する光が暗闇のそらに浮かぶ。 「ディータ、マーク001、002損傷、後退確認。」 「一機、逃したか。姐さん、回避を!」 サッシャがレーダーを確認し、マークされたうちの2機の後退を告げた。 019 ディータの放ったライフルの火線をはずれた一機が、攻撃を受け撤退する僚機に合流するその際に、置き土産とするように数度ライフルを発し、サーベルを抜いて、ディータのジンめがけて背中に光の筋を走らせた。 サッシャに回避行動を促す声を発しながら、自分も急激な回避行動をジンにとらせようとスラスターのハンドルを握り締める。 しかし、ディータの腕から送られる信号を受けるジンは、ディータが望んだほどの反応を見せはしなかった。普段自らが搭乗する機体とはエンジンをはじめとしたカスタマイズが異なるため、自分の機体だと思うなと、整備士に注意されたのを今更ながら思い出し、舌を鳴らす。 「ち、101じゃねぇんだった。――サーベル!」 急ぎライフルを手放し、サーベルに持ち替えさせようと動作をはじめる。サーベルをつかみ次第、足指の付け根が捉えた後部バーニアのペダルを踏み込むようタイミングを図る。 101ジンであれば間に合うだろうところが、間に合うか瀬戸際といった現在の状況に、ディータはほんの少し苛立っている自分に気付く。 相手がサーベルを振り下ろす瞬間を前に、ジン106のサーベルはマニュピレーターに掴まれた。ディータは、相手のタイミングを外すために懐へ飛び込むべく、バーニアを踏む。 「ジン106。」 2機のサーベルがかち合うかと思われたその時、ディータは背後からの声と火線にジンの身を翻した。 回避が遅れ、右肩に火線を受け損傷したダガーLは火花を放ち、衝撃でゆるく後退していく、ディータはその間を縫って未だライフルを携えたダガーLの右肩めがけてサーベルを振り下ろす。右腕を奪われたダガーLは、注意深く背面に光の尾を引いて、撤退していく。 「ウィトゲンシュタイン主砲、撃ち方用意――撃て!」 耳の奥、遠く聞こえたウィトゲンシュタインブリッジの号令と共に、先ほど自らを掠めたものとは比べ物にならない、横たわる大樹のごとき火線が、アーモリーワンの外壁とともに、撤退していくダガーLすらも巻き込んで、暗闇のそらを押し進んでいった。 火線の影響で電波障害が残る中、ディータは敵機がある程度の距離をとり撤退するのを確認すると、先ほどの声の主の乗るジンを探し、声を投げつける。 「こちらジン106ディータ・ウェバー。手助けには感謝するが、どこの部隊の者だ、所属を述べろ。」 「――失礼、貴官をウィトゲンシュタインMS部隊とお見受けした。こちらは、ミヤモト隊2番艦ロンバルドゥスMS部隊である。援護する、発進急げ。」 「ロンバルドゥスMS部隊、援護を感謝する。」 方向指定無線に乗せた声を弾きながら、ディータとサッシャ、そして2番艦ロンバルドゥスの隊長機201ジンらの前を、先ほどまでドックの中で狭苦しく肩を竦めていたウィトゲンシュタインの船体が、悠然と大海原に放たれた鯨のように吐き出された。 その様子を、息をついて見つめるディータに、サッシャがウィトゲンシュタインへの帰艦を促し、2機のジンは2本の光の尾を並べた。 020 「ディータ!106はどうだった?」 「あの反応速度は不満だな。あとでカスタマイズの計画考えるから付き合えよ。」 106ジンをドックに移し、バチロウに簡単な報告をしたディータはドリンクのボトルを片手にゆるく手を振り、ロッカールームへと向かっていく。 「ドックに入らなければ、ワイヤーで繋留すればいい!手を抜くなよ!」 頭を覆わせたままのヘルメットに、外で作業するメカニックたちの声が聞こえた。見ると先ほどの201ジンが、ウィトゲンシュタインの外壁に繋がれていく。 わざわざ戦闘の直後に何をしに来たのかとは思ったが、ストローを咥えたままの口元と喉の渇きを潤したい欲に押され、考えるのをやめることにした。 「遅くなりました――っと。」 ドリンクボトル片手にブリッジへと向かうと、ウィトゲンシュタインの艦長であり、このミヤモト隊の隊長であるケンタロー・ミヤモトがフリーデルに何かしらを告げ、同じくアーモリーワンを後にした新造艦ミネルバへの回線を開かせたところで、ディータは小さく口を噤んだ。 「今回のボギーワン追跡は、このミネルバが行います。」 柔らかくも厳しいその声は、ディータには、耳覚えの無い声だった。 「では、こちらは当初の予定通りL1コロニーアルカディアでの作戦行動に移行させていただく。」 「了解しました。そういうことで、よろしいですね?議長。」 ミネルバの艦長、タリア・グラディスがモニターの中で振り返ると、プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルが頼むと一言発し、ディータの視界に収まるミヤモトは、幾分か驚いたようだった。 「何故、議長がミネルバに?」 「式典参加に先立ち、アーモリーワンを視察中、この度の件に巻き込まれ、やむにやまれず当艦に乗艦されたのです。」 「そうでしたか。」 その後、ほんの少し得たボギーワンに関するデータをミネルバに提供し、ミヤモトの指示の声で回線が切られた。 「本来なら、この隊の出航前に挨拶に来る予定だったんでしょう?あの人。」 「あぁ、ディータ、来たか。」 ミヤモトは、ヘルメットこそ外したものの未だノーマルスーツ姿でドリンクボトルのストローを咥えているディータに気付き、振り返る。 「ロンバルドゥス、座標軸固定。ジークムントは少し遅れています。」 ナビゲータのフランクの声が神経質に響くと、ブリッジを他のクルーたちに任せたミヤモトはディータの肩を叩いて自らについてくるよう促した。 「評議会議長なんて文官も、新型モビルスーツや新造艦なんかにお熱で、こんな旧式には挨拶もなしかよ。」 ブリーフィングルームに向かうミヤモトの背を追う振り向きざまに、そう毒づく。 「仕方ないだろう、有事なんだ。」 「あんなガキばっかりの新造部隊に何ができるっていうんだ。」 「ほら、ぶちぶち言ってないで、遅くなったが顔合わせとブリーフィングだ。」 「顔合わせ、ですか?」 「あぁ、ロンバルドゥスのモビルスーツ部隊長が来ている。本当は出航前にやる予定だったんだが、こうなってしまったから、少々省くけどな。」 軽薄な圧縮空気の音と共にブリーフィングルームのドアが開くと、そこには既にウィトゲンシュタイン所属のパイロットたちが集まっていた。 ミヤモトに押され、しぶしぶといった様子でディータも席に着く。 「この度は、想定外の敵襲に予定が早まっての出航となったが、作戦内容に変更は無い。これより簡単に顔合わせと確認作業とブリーフィングを行う。」 作戦宙域の3DCG映像を映し出しながらその前に立って、ミヤモトは仰々しく言った。 「そうだな、まず本艦のMS部隊長だ。ディータ、挨拶しろ。」 「えー!」 「隊長らしくきちんとしろといっただろ。」 「ちぇ。面倒くさいなあ。」 <BACK> |